出版社/著者からの内容紹介
移民労働力の本格的導入が議論される一方、大企業では外国人採用、英語公用語化など多文化社会への流れが強まる。働き手としての「人」はおろか、仕事や職場すら容易に国境を越える時代は、労働社会にいかなる変容を迫るのか。
続刊
第3巻 女性と労働 藤原千沙・山田和代 編
第4巻 周縁労働力の移動と編成 西澤晃彦 編
第5巻 ケア・協働・アンペイドワーク 山下順子・仁平典宏 編
第6巻 労働と生存権 山森亮 編
著者について
1974年生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授(都市社会学・国際移動論)。共著に『多文化社会の〈文化〉を問う』(青弓社)、『新・国際社会学』(名古屋大学出版会
)、『戦後日本スタディーズ3』(紀伊國屋書店)ほか。雑誌
『POSSE』(合同出版
)、『現代思想』(青土社)『オルタ』(アジア太平洋資料センター)などにも寄稿。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
About this Title
二〇〇九年初頭、巷の話題の筆頭は「派遣村」であったことは記憶に新しいだろう。リーマン・ショックを経て派遣切りされた人々が、東京のど真ん中で越年した光景は、くりかえし報道番組に映し出されて人々の関心を集め、雑誌
や出版の世界では「貧困ブーム」といわれる状況さえ起こっていた。同時期に、同じく製造業で請負労働をしていた日系ブラジル人も、やはり大量に失職していた。彼らの困窮ぶりもまた大きく報道されたが、それはほとんど失職中のブラジル人の帰国の話題に集中しており、二〇〇九年四月に日本政府が帰国支援事業を開始すると、その傾向はさらに強まった。このころ、確実に地続きのこの二つの「問題」は、メディア上ではまったく切り離された問題として構成され、ほとんどの視聴者の眼にはあたかも別々の国のできごとのように映っていた。
これは、これまでの日本での「外国人労働者問題」の語られ方のひとつの帰結でもある。自戒を込めてということになるが、社会学を中心とした「外国人」の研究者は、エスニシティや文化の側面に関心を集中しがちであったし、労働研究の分野では、外国人労働はあまりにも周縁的かつ特殊な問題領域として扱われてきた。また、外国人にまつわる政策群(出入国管理や外国人の子どもの教育など)も、それだけで完結した個別の政策課題として議論されるきらいが強かった。いずれにせよ、いまやすべての日本社会の住民の生活が、グローバルな人や労働の移動に依存して成り立っているという大前提の認識や、現代日本が経験している労働市場全体の構造変容のなかで、外国人労働者や移民をどのように位置づけるかという視点が、これらの議論には希薄であったと言わざるをえないだろう。
そんななかで、現代日本において揺らぐ労働の輪郭を探ってゆくことを目的とした「労働再審」叢書の一巻として、本書が刊行される意義は小さくない。「越境する労働」という問題系を把握するための大づかみの見取り図を提供するこの序章以下、本書の各章は、在日外国人の網羅的な把握をめざすためではなく、いままでこの議論に囲い込まれてこなかった論点を積極的
に取り込んでゆくことを重視して配されている。若年労働、女性労働などの領域で議論されてきた論点と外国人労働との接続をめざす本書の試みは、結果的に、現在の労働をめぐる議論に国際移動というファクターを付加することをも目論んだものである。(序章「はじめに」より)
これは、これまでの日本での「外国人労働者問題」の語られ方のひとつの帰結でもある。自戒を込めてということになるが、社会学を中心とした「外国人」の研究者は、エスニシティや文化の側面に関心を集中しがちであったし、労働研究の分野では、外国人労働はあまりにも周縁的かつ特殊な問題領域として扱われてきた。また、外国人にまつわる政策群(出入国管理や外国人の子どもの教育など)も、それだけで完結した個別の政策課題として議論されるきらいが強かった。いずれにせよ、いまやすべての日本社会の住民の生活が、グローバルな人や労働の移動に依存して成り立っているという大前提の認識や、現代日本が経験している労働市場全体の構造変容のなかで、外国人労働者や移民をどのように位置づけるかという視点が、これらの議論には希薄であったと言わざるをえないだろう。
そんななかで、現代日本において揺らぐ労働の輪郭を探ってゆくことを目的とした「労働再審」叢書の一巻として、本書が刊行される意義は小さくない。「越境する労働」という問題系を把握するための大づかみの見取り図を提供するこの序章以下、本書の各章は、在日外国人の網羅的な把握をめざすためではなく、いままでこの議論に囲い込まれてこなかった論点を積極的



