失業率のさらなる上昇が懸念されている現在、フリーターという生き方
やパートタイム労働者の増加、雇用保険
制度の問題など、“働き方”に関するさまざまな議論が盛んに行われるようになってきた。しかし、そのこと自体は望ましいが、実際に職を失っているのはどの世代なのか、働き方による法的バックアップの違いとは何かなどといった体系的な知識が得にくいために、問題意識の持ち方が興味本位で終わってしまっているケースが多い。たとえば、しばしば「パラサイトシングル」という言葉とともに報道されるフリーターの増加に関しては、若者の勤労意欲の低下という一面的な見方ばかりが増長してしまう危険性もある。
そんななか、日本の“働き方”について、さまざまな統計を示しつつ多面的に論じているのが本書だ。失業の実体から雇用保険に対するモラル
ハザード、ワークシェアリングの可能性を含めた女性、高齢者、若年者の雇用問題などについて、「日本の失業」「雇用保障と雇用保険
」「ワークシェアリング」「働き方の多様性を実現する」の4部構成でまとめている。
本書のユニークな点は、京都大学大学院経済学研究科教授の橘木俊詔が編者となり、京都大学橘木ゼミナール所属の学生が本文を執筆しているという点。その多くを学生の自主性に委ねて誕生した書籍であるというだけに、橘木の見解と異なっている箇所も多い。たとえば、雇用保険制度のモラル
ハザードに対しては橘木よりも学生の方が深刻に捉えているなど、同じ数値や現象を分析しても、論者により結論が異なる点は注目に値する。橘木は、終章でその差をまとめるとともに、本文で論じられなかったいくつかのポイントについても付加している。
現在日本が直面している雇用問題について、その基本を押さえておきたい人におすすめの1冊である。――2003年5月(朝倉真弓)
内容(「MARC」データベースより)
日本経済の「失われた10年」以降の最大の課題の一つである、日本の雇用・労働問題。日本の失業、雇用保障と雇用保険
、ワークシェアリング、働き方の多様性などについて分析し、労働問題に対する不安を解消する具体策を提案。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
橘木 俊詔
京都大学大学院経済学研究科教授。1943年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。京都大学助教授を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
京都大学大学院経済学研究科教授。1943年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。京都大学助教授を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



